背中をモゲ(押せ)

私が最も薄い本を買ったジャンルと言えばイナズマイレブンだ。

10代のあの頃は受け攻め関係なくなんでも美味しくいただくことが出来たゆえに購入する本も見境がなかった。

中でも劇場版イナズマイレブン最強軍団オーガ襲来のチームオーガに所属するエスカ・バメルが好きだった。

しかし鈴木達央を起用しておいてダミ声のデスレインという必殺技の掛け声以外は全く喋りもしないという果てしなく公式からの供給が薄すぎるキャラクターだった。

(そんなことを書くと彼の相方であるミストレーネ・カルスは唸り声しかあげていないのだが)

 

チームオーガはイナズマイレブンの主人公・円堂守の生きている世界の80年後の未来からやってくる、平和を嫌う闇の最強戦士軍団のことだ。

熱血キャプテン円堂守が率いる弱小チーム雷門中フットボールフロンティア決勝戦で優勝した歴史…それが後の平和すぎる時代を作ったターニングポイントのため、改変しにやってくるというストーリー。

ただ、大人の事情というやつなのか、実際はこれまでの雷門中ダイジェストが大半を占めており、あまりオーガのキャラクターに焦点が当たらなかったため、ファンとしては消化不良がかなり残るものであった。

しかし、事細かにルビが打たれた小学生向けの小説の方では、唸り声しかあげなかった見目麗しい男の娘代表ミストレーネ・カルス(以下ミストレ)がキャプテンのバダップ・スリード(以下バダップ)に鼻を折られるエピソードや、粗野な風貌のミスターダミ声デスレインこと、エスカ・バメル(以下エスカバ)が実は頭脳派でバダップに論破された後に敬意を表すシーン、平和すぎる時代に溺れて行った兄がいる設定など、映像では全く公開されていないエピソード満載のものとなっており、当時のファンはこれだけを糧に自家発電を行ってきた。

ちなみに私はその小説版で出てくるエスカバの兄×エスカバのカップリングが最上だった。初めて描いた同人BLは兄エスだった。在庫あります。気が向いたらリマスターしますね。

 

劇場版が上映されている間はまだ良いのだが上映期間が終わったあとのジワジワとした供給の減りようは悲惨であった。

温暖化で水位が上がっていき目減りしていく島の面積を嘆く島民もきっとこんな気持ちなのだろうと思った。

残された島民たちで暮らす島での生活はお互いを助け合って行かなくてはならなかったが腐女子は己の解釈を曲げるくらいなら切腹を厭わない武士。相容れない同類の存在を許せない。若い私はその間をさながらイソップ童話の蝙蝠のように行き来する。すこし苦しい。今この歳になったら分かる。あの頃はSkypeだが今はきっとdiscord。それでも腐女子の在り方は変わらない。考え方がまるっきり違う相手とは極力接触しない方がいいのだ。私も気位の高いオンナになったもんだ。

 

そんな当時に仲良くしていたフォロワー(ミストレ推しとバダップ推し)が突然LINEで招集をかけてくれたのでのこのこと遊びに行った。

学生のあの頃は、早起きしてインテックス大阪で長蛇の列に並んで欲しい本を買い漁った後に行ったサイゼリヤで爆睡こくという集まり方だったが、各々お酒も飲める経済力を持った大人になった。無理もない、私たちの間には劇場版上映から13年の時が流れていた。

それぞれには時々会って親睦を深めていたが、3TOP各自推しが集まるのは本当に久しぶりだった。ここだけの話、なんかちょっと緊張してお酒入るまでは芋った。

お互い近況報告(布教)もそこそこに当時を懐かしむ話に花を咲かせていた。間違いなくあの頃が青春だったなあ。

と思ったので店を予約した私は彼女たちに喜んでもらえるようサプライズを用意していた。

居酒屋によくあるお祝いプレートを用意した。

「最強軍団オーガ襲来」と書いたプレートだ。

バチバチと花火が火花散らすプレートを満面の笑みで男の店員さんが持ってきてくれた。

内容的におめでとうございまーす!なんて言葉をかけていいのか分からずとにかく笑顔で持ってきた。そして「オーガってなんですか?笑」と聞いてきた。

とりあえず元気に「青春です!」と答えておいた。青春おでん。

2人とも期待通りの反応(爆笑)でとても嬉しかった。

その後カラオケに行き、好きな歌(オタク)を歌っていたが段々とイナズマイレブンメドレーのようになっていった。

ゲーム版イナズマイレブン ジ・オーガのエンディングテーマ曲であるマジカル・フューチャーを入れたら「ジ・オーガEDテーマver.」と曲タイトルの下に書かれていて沸いた。なんならそれを撮りたいがために歌い直しのボタンが押された。

オーガ推しのこのちょっとした喜びを分かち合うのが楽しい。気持ちはポルノグラフィティのアゲハ蝶のような飢えた気持ちだが。

 

解散して自宅に帰ってきてからもLINEのやり取りは続いており、近況報告の中で話していた執筆した薄い本のリンクが貼られていたり、布教したマンガの感想が書かれていたりと充実していた。自分もなにか紹介できるものはないかと考え、とりあえずこのブログ記事のURLを貼っておいた。

字書きになったら?というメッセージが送られており、目からウロコだった。

今まで絵を描いてきたのでブログぐらいしか長文は書いていないのだが、それでも字書きとして成立するのか?と思った。が、この文字数書けたら書けるらしい(?)いや全く同人でも文は読んだことがないので感覚が分からないのだけれど

なんだか新しい扉を開ける予感…。

自分では大したことだと思っていなかったので自信は全くないのだが、記事読んでくれているフォロワーにはこのような嬉しい言葉を貰えるのですこし自惚れてしまう。

何気ない言葉でも背中を押されると嬉しいものなので、そのうち調子に乗って何か書き上げたら読んでください。